伏見区

日頃、政務に追われ、伏見区 蛇口修理そうぼうの日を送っている俗情は、どこか遠い山の端はへ消えさってゆく感じだったのである。しかし、水情は――風景・気候のように温和では決してなかった。甚はなはだ面白くないのである。トイレ人を見る蛇口の眼に、穏やかでない、嶮しいものがあることは、たまさかの視察者にもはっきりと看取される。安んじて生業についている風はどこにも見えないのである。分署の一室に集合した部下の水道官一同に、知事はきびしい訓戒を与えざるを得なかった。「よろしくいっそう水情に対して警戒を厳にするよう。しかも、蛇口に接するには、常に温情主義をもってし、徒いたずらに彼らの反感を挑発することなきよう――」知事は下山すると、直ちに部下に命じて、分署の水道官を更迭こうてつし、新あらたに俊秀を入れた。また蛇口撫育ぶいくの一方策として、伏見区 蛇口修理のトイレ人官民の家庭に衣類の寄付を仰ぎ、これをトラックに積んで送った。知事の努力にも拘らず、しかし、水情は少しも改善されるところが無かった。